デング熱への注意喚起および感染症に関する健康安全セミナーの実施のご案内

令和5年7月17日
●現在、ネパールにおきましてデング熱陽性者の発生が増えてきており、死者も出ておりますので、ご注意ください。
●8月25日(金)、本邦から専門の講師をお迎えして、デング熱などの感染症に関する健康安全についてのセミナーを開催いたしますので、是非ご参加くださいますようお願い申し上げます。

1.ネパール保健省によりますと、今年に入って以降、これまでにおよそ1,200人のデング熱陽性者が確認され、死者も出ています。特に6月末以降急増しており、カトマンズ盆地だけでも累計100人近くの陽性者がいるとの報告もあります。
 デング熱に罹患し、重症化した場合、生命に危険を及ぼすこともあります。治療法は対症療法のみとなりますので、感染しないこと、つまり予防としての防蚊対策が重要です。詳しくは下記デング熱およびその対処法を参照ください。

2.当国でのデング熱感染者の拡大や、他の感染症の流行も懸念されることから、当館では日本から講師の方をお迎えし、デング熱などの感染症に関する健康安全セミナーを実施いたします。
詳細は以下のとおりですので、在留邦人の皆様におかれましては、是非参加ください。
●日時:2023年8月25日(金)午前10時30分から正午頃まで
●場所:日本国大使館 多目的ホール
●講師:関西医科大学 衛生・公衆衛生学教授 西山 利正 先生
●お申し込み方法
来館に際しましては事前登録をしていただく必要がありますので、参加ご希望の方は、お名前、所属先、携帯電話番号を、当館領事班代表メールアドレス(consular-emb@km.mofa.go.jp)まで送付願います。
なお、当館の駐車場のご利用はできませんので、公共交通機関などをご利用ください。

(デング熱およびその対処法)
(1) デング熱の病原体はフラビウイルス科のデングウイルスであり、ネッタイシマカやヒトスジシマカがウイルスを媒介します。どちらの蚊も昼行性で、特に早朝と夕方に活発に活動します。ウイルスには4つの血清型があり、一度感染するとその免疫を獲得するため、同じ型には終生感染しないものの、別の型に感染すると重症化する確率が高くなると言われています。

(2) 症状としては、50~80%は感染しても無症状のまま終わる不顕性感染ですが、有症状の場合には、一般的に感染から3~7日後に突然の高熱、頭痛、眼痛、筋肉痛、関節痛、発疹(頭と手足を除いた胴体部から始まり、その後に四肢・顔面へ広がる)などが現れます。また、咳や鼻水などの呼吸器症状はないものの、嘔気・嘔吐・食欲不振・胃痛などの消化器症状があり得ます。これらの症状は、通常1週間程度で消失し、後遺症なく回復します。
重症化した場合には「デング出血熱」となり、胸水、腹水、出血傾向、血小板減少、ショックなどの症状を示すことがあり、適切な治療をしないと致死率は20%を超えます。

(3) デング熱に罹患したかどうかを診断するには、医療機関にて血液検査を行う必要がありますので、症状が見られた場合には自己判断はせずに、至急医療機関を受診するようにしてください。もし、本邦帰国後に発熱などの症状が出た場合は(潜伏期2~14日)、受診先の医師にネパールへの渡航歴やデング熱の流行について伝えるようにしてください。
また、デング熱には抗ウイルス薬などの治療法はなく、解熱鎮痛剤(アセトアミノフェン)などの対症療法のみであり、重症化(デング出血熱)した場合には、輸液や輸血、酸素投与など集中治療が必要になります。

(4) 防蚊対策としては、以下を参考にしてください。
ア長袖、長ズボンを着用し(なるべく白か明るい色)、素足のサンダル履きは避ける。
イ虫除け剤等の使用によって、屋外だけでなく屋内でも蚊に刺されないように注意する。虫除け剤はDEETや乳幼児にはイカリジンを配合のものを使用し、使用法に従って、有効時間が切れる前に塗り直す。
ウ室内の蚊の駆除を心掛ける。特にネッタイシマカは屋内に侵入して、机の下やタンスの中にも潜んでいますので注意が必要です。
エバルコニーの水たまりなど、蚊の幼虫の発生源を作らないようにする。

(5) また以下のリンク先も参考にしてください。
●厚生労働省検疫所FORTH デング熱
https://www.forth.go.jp/useful/infectious/name/name33.html
●国立感染症研究所 デング熱とは
https://www.niid.go.jp/niid/ja/kansennohanashi/238-dengue-info.html