令和5年度天皇誕生日祝賀レセプション大使スピーチ(仮訳)

令和6年3月14日
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ラムサハヤ・プラサド・ヤダブ副大統領閣下、
大臣閣下、
大使閣下、
報道陣の皆様、
ご来賓の皆様、
 
 ナマスカ。
 
 本日、天皇陛下の64回目の御誕生日を祝うレセプションに、主賓としてヤダブ大統領を、またご来賓の皆様をお招きすることができ、大変喜ばしく思っています。
 
 日本では、2024年は、石川県能登半島における悲惨な震災とともに明けました。皇居一般参賀も中止となりました。ポーデル大統領からのお見舞いに対しては、陛下からの謝辞が送られました。
 
 この困難の時に、日本に在住するネパール人の皆様が被災地支援のボランティアに向われたことは心温まる出来事でした。ボランティアの方がおっしゃるには、2015年のネパール大地震の際の日本からの支援へのお礼とのことです。
 
 本日、震災から約2か月が経過し、皇居では天皇陛下の誕生日を祝う一般参賀が行われ、またこの公邸の庭園でも祝賀行事が開催されます。この機会に、私は昨年11月に、ジャジャルコットと西ルクム地域で発生した大地震を思い起こさざるをえません。あの日、日本が支援していたUNDPのプロジェクトのトレーナーと訓練者がその場に居合わせており、即座に救助と緊急医療支援を開始しました。私はそれが現地での最初の人道支援活動だったと考えています。UNDPのプロジェクトは現在、救援から初期の復興支援段階へと移行しています。
 
 ネパールも日本も災害の多い国であり、ネパール人と日本人は困難に際して互いに助け合っています。防災や被害の軽減を含む、多くの分野で引き続き協力していくことが重要です。
 
 最近日本に在住するネパール人が増加しています。急激に高齢化する日本社会を維持するため、在日ネパール人の存在は不可欠です。大使である私としては、人的交流が拡充されることを目にすることは喜ばしく、日本に在住するすべてのネパール人が幸せに暮らすことを祈りたいと存じます。しかし、ネパールとの協力に関して申し上げれば、ネパールから諸外国への大規模な移住の動きがある中、日本の支援は、慈善ではなく、ネパールの将来の発展のための投資であることを改めて指摘させて頂きます。
 
 そのような協力案件の一つであるナグドゥンガ・トンネル建設案件は、来月初旬に本坑開通の見通しです。これは、ネパールにおける初の道路トンネルであり、ネパールの将来の発展にとって非常に意義深いプロジェクトです。極めて複雑な地層を有し、いまも地球上でも最も速いペースで成長し続けているヒマラヤ山岳地域にトンネルを掘るという挑戦は途方もないものです。重要なのは、約束や言葉ではありません。実施することです。多くの困難を乗り越えてこのプロジェクトが成し遂げられることは、日本の決して諦めない精神の象徴であり、ネパールのこれからの若きエンジニアへの技術移転でもあります。
 
 先日のサウド・ネパール外務大臣と高村外務政務官の会談においても話し合われたように、長きにわたる友好関係に基づく二国間の密接な協力はこれからも継続されるでしょう。2026年は、ネパールの後発開発途上国(LCD)からの卒業の年であると同時に、日本との外交関係樹立70周年の年でもあります。私は、友好的な二国間関係がこの記念すべき年に向けて強化され、新たな状況に応じつつその後も継続することを心から希望します。
 
 本日、私はご来場の皆さん全員がこのレセプションを楽しまれ、ネパール、日本及びその他の外交団からのゲスト同士の友好を深められることを望みます。日本酒、日本ワイン及び日本食の用意もございます。カトマンズの日本レストラン及び日本企業のご協力で庭園に設置されたブースも是非お楽しみください。追って、日本文化の武道のパフォーマンスもご覧に入れる予定です。
 
 どうもありがとうございます。

 

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